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明日に向かって。

2023年4月26日


数年前、派遣の仕事で見知った人に「声優さん目指してるんですか、頑張ってくださいね」と言われたことがある。しばらく間をおいてから、「いや、一旦なるにはなれたんですが、自分の場合はそこから下降線を辿っているので事情が違うんですよ」と律儀にも自ら間違いを正した。適当にあしらっておけばいい会話だったのに、どうにもモヤモヤが晴れなかったものでね。大先輩に田原アルノさんという方が居るけれど、アルノさんは五十代前半までは清掃のアルバイトをしていたという苦労人だという。声優には様々なポジションがあって、有名無名、忙しく仕事をしている人、現役としての仕事がごくごく少ない人、昔の名前だけで売っている人、そして大手事務所に所属した経験がないながらネット中心に活動している自称声優など様々だ。自分の場合多忙だったのはジュニア時代がピークで、それ以降は細々と仕事を頂いているという、「声優業界において大多数を占める」部類の人間。でも、仕事に対する情熱、思い入れ、愛情は誰にも負けないものがあるし、自分は表現者なのだというプライド、矜持は決して捨てていない。どんなに辛い状況にあろうとも、この仕事を辞めてしまおうと思ったことは一切ない。身を退いてしまったらそれまでだ。自分の声を必要だと思ってくれる人は必ずいる。必ずいるのだと信じている。だからこそ、負けられないのだ。


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