とにかく残念。
- Ryusaku Chijiwa
- 6月7日
- 読了時間: 3分
更新日:6月11日
2025年6月7日
据置型のブルーレイプレーヤーとノートパソコンのドライブが不調なので外付けドライブを取り寄せての待ちに待った視聴。しかし結果は予想を大きく裏切られて何とも不満の残るものとなった。自分はこの吹替版を中学生の頃(1982年か83年)に「木曜洋画劇場」で一度見ただけであったが音声はカセットテープに録音して長らく愛聴していた(その後紛失)。数年前にさるルートからテレビ録画版の映像を入手したが一部分が欠落したものであった。マックスがコードさんに拳銃の手ほどきを受ける場面(ポーカーを教わる部分)、雑貨店で缶詰と読み書きの本を買う場面。これらは吹替えが存在したはずだと記憶しているが新録版に差し替わっていた。何故ソフト化に際しフィールドワークスさんのようにビデオ録画音源を広く募集しなかったのか。星の数ほどもいるであろう吹替マニアのマックィーンファン(年齢にすると60~70代)が誰一人として所有していなかったというのか。またその吹替版音声が場面によって音楽が消えてしまったり不自然な編集がわかってしまうような箇所があり、本当に丁寧に作業をしたのか疑問が残る。低予算(と思う)だった従来のソフト版ではなく追加収録部分は新たなキャスティングによるものであったのは良かったが、ツダケンさんの声はwikipediaに書かれるほど宮部昭夫さんに似ているとは思えない。「ブリット」の追加収録の落合弘治さんも似ているからという理由で起用されたのではないので同様だがマックィーンのファンであることは共通のようだ。が、そうなると長年のファンを公言している自分にお呼びがかからないのは知名度の低さ、コネクションの無さというのが理由だというわけで全く情けない限りで悔しい。自分ならば宮部さんのみならず「荒野の七人」での内海賢二さんの口調だってもっと寄せられる自信はある。でもそんなのは負け犬の遠吠えでありいくら過疎ったブログで吠えても意味はない。ボードリー役の斧アツシさんは小林清志さんの声質、喋り方にうまく寄せていて素晴らしかったが、フィッチ役に何故中田譲治さんを配したのかが全く意味不明だ。重厚でたっぷりと喋る語り口の中田さんは島宇志夫さんの声質ともまくし立てる様な喋り方とも全く違う。役者に責任はない。問題は起用した側だ。
ツダケンさんのマックィーンも、宮部昭夫さんや内海賢二さんから城達也さん、寺田農さんほかのどの先輩役者もやっていない息づかいを入れたり、若山源蔵さんの吹替えでよく聞かれていたようなリップの音を入れていた。マックィーンの吹替えではかつて見たことのない技法だったので、オールドファンにとってはかなり違和感があるうえ失礼ながらあまり研究されていないのかなとも思ってしまった。これは現場によるが、リップやブレスの音を入れることを嫌うディレクターには「やらなくていいよ」と言われる場合、そうでない場合とがある。宮部マックィーンの特徴を良く知る現場の方々もいまや少なくなったんだろうな。
自分はこの作品をテレビで一度見たほかは、1983年1月27日に東京・池袋の文芸座ル・ピリエの自主上映会(16ミリ)で見ている。この作品だけが長らく宮部昭夫さんの吹替完全版で見ることが叶わず、自分にとっては誇張ではなしに「最後の夢」だったのだ。実に40年ぶりに叶う筈だったその夢はここに潰えてしまった。残念、悲しい。悔しい。そして寂しい。。

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