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さらば少年の日。

更新日:18 時間前


2026年3月16日


作曲家である青木望さんの訃報を聞き、青木さんと言えば言わずもがなの「銀河鉄道999」(TV版・劇場版ともに)のサウンドトラックを手掛けた方として広く知られてはいても

自身がアニメ初レギュラーとして出演したシリーズ「銀河鉄道物語」(2003-2007)でも音楽を担当されていたことについて一般に言及するファンがほとんどいないので様々な思い出とともに記事にまとめようと思っていた矢先、今度は池田昌子さんの訃報が飛び込んできて呆然としてしまった。「銀鉄」ゆかりの方々の相次ぐ逝去は悲しい限りだが、自分の生きていた時代が遠い過去のものとして忘れ去られていくような寂しさもひしひしと感じる。

 

青木望さんのこと

「銀河鉄道999」のTVシリーズが放送されたのは1978年、劇場版第一作が翌1979年、第二作(完結編)が1981年に公開されているが、音楽はすべて青木先生の手になるものだ。劇場版は公開後10年以上を経てからビデオで見たが、TVシリーズはリアルタイムと再放送とで視聴していた。自分は小学3年生から4年生に上がった頃だが「999」を見て感じたのはまず毎回登場する多彩なデザインの機関車車両のメカニックの魅力、そして劇伴音楽(BGM)の魅力。緊張感のある追跡の場面などのスリリングなスコアは格好良かったし、毎回のようにクライマックスになると物悲しく感傷的な音楽が流れるのでそれに涙を誘われることがよくあった(同じ例に日本テレビのドラマシリーズ「西遊記」がある)。劇場版の音楽はさらにドラマチックで、脚本の素晴らしさも手伝って各場面の台詞とともに記憶に刻まれている(スケジュールの関係上と思うが予告編にもTV版の音楽が使われており城達也氏の格調高いナレーションと相まってこれがまた実に郷愁を誘う効果を上げていた)。

時を経て2003年に松本零士の世界観と魂を受け継ぐ次代のスタッフが「銀河鉄道物語」と題した新シリーズを製作、残念ながら大きな話題を呼ぶことは無くヒットまでには及ばず。しかしOPEDは御大ささきいさお氏、そして音楽は青木先生が再び起用され、より現代的な素晴らしいスコアを残されている(ストリングスではなくプラスが主体で勇壮なタッチ)。自分は声優として参加しながらも一視聴者としての目線をもってオンエアを楽しんだ。秀逸だったのは佐藤恭野さんという選曲の方が楽曲の主旋律(ハーモニカ)だけを抜き出したりイントロ部分を長めに繋いで使ったりマルチトラックを様々に切り貼りして各所で効果的に使っていること(これに言及されているファンはいないのでは?)。劇中は純粋なサントラとはまた違う魅力を味わう事が出来るというわけだ。シリーズ後半はヤマトを豊富とさせる特攻また特攻の緊迫した展開で激アツになるうえ、毎回のゲスト声優も非常に豪華で(井上和彦、ささきいさお、上田みゆき、青野武、麻生美代子、野沢那智、塩屋浩三、飛田展男、荘真由美、三宅健太、堀内賢雄、安原義人、石田彰、沢城みゆき等々贅沢なキャスティングを楽しめる。青木先生の音楽を聴くだけでも一見の価値はありだろう。この機会に本作が再評価されることを願ってやまない。「銀河鉄道物語」、隠れた名作です。一見のほどを!

そして青木先生の魂の安からんことを―― 合掌。

 

池田昌子さんのこと

小学生の頃に入団した児童合唱団が劇団に転じたことで女優を志し、子役として映像、ラジオドラマ等のを仕事を経て吹き替えの仕事にも携わり、外画ではフィックス(持ち役)としてオードリー・ヘップバーン、またメリル・ストリープ他多くの作品で声をアテている。ご年配の向きはアニメでは「エースをねらえ!」のお蝶夫人役(の、特徴的な口調)をご記憶の方も多かろうが、池田さんと言えば何といっても「銀河鉄道999」シリーズのメーテル役だ。凛として意思が強くまた優しく母のような愛をもって鉄郎を導き、自身を「(鉄郎の)少年の日の心の中の青春の幻影」と称した謎多き女性。ご自身は「数少ない(アニメ出演作の)中で、こういう素敵な作品に巡り合えたというのは、本当に役者冥利に尽きます。そしてメーテルは私にとっても非常に魅力的な役なんです」と語っている。その美しく滑らかな語り口は晩年も衰えることなく、近年では「ありえへん∞世界」でのバラエティナレーションも担当していた。70代、80代の大ベテランのクラスになると、職業を「声優」と称されることに強い抵抗を示す方が多い(アテレコ創世期は役者の片手間仕事と捉えられていた)中で、声優を専業とする意思を明確に示し高い志をもって仕事に取り組んでおられる方でもあった。残念ながら収録でご一緒する機会はなかったが、あの気品のある艶やかな美声はいつまでも人々の心に残るだろう。ありがとうメーテル、ありがとう池田さん、永遠に――。


「私は、あなたの想い出の中にだけいる女。 

私は、あなたの少年の日の心の中にいた青春の幻影・・・」


今、万感の想いを込めて汽笛が鳴る

今、万感の想いを込めて汽車がゆく


ひとつの旅は終わり、また新しい旅立ちが始まる

さらば メーテル

さらば 銀河鉄道999


さらば 少年の日




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