大野雄二さんを悼む。
- Ryusaku Chijiwa

- 5月13日
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更新日:5 日前
2026年5月13日
作曲家でありジャズピアニストとしても活躍されていた大野雄二先生が逝去された。84歳で老衰だというのにも驚いた。何をおいても「ルパン三世」シリーズの音楽で知られた方ではあったが邦画サウンドトラック盤のヒット作としては草分けの「犬神家の一族」での楽曲たちも忘れ難い。デイブ・グルーシンの「コンドル」にインスパイアされたような旋律(ハンマー・ダルシマーによるもの)、絢爛たるオーケストレーションによるストリングスとブラスが実に耽美的で格調高い。ホラーやサスペンスの映画音楽が「怖がらせること」に捉われずただ美しくあることが恐怖を引き立てるというのは「エクソシスト」「サスペリア」の流れを汲んでいるとも感じられて興味深い(※ただし前者はサントラ用に書き下ろされたものではない)。本編ではズタズタに切り貼りされていたがオープニングの大きなロゴタイプも偶然の産物(制作会社のミスが発端)とはいえインパクトは絶大で見事な相乗効果を上げている(後の「エヴァンゲリオン」など様々な作品で踏襲された)。サントラ盤を入手して聞いてみると気づくのが随所で本編使用の楽曲と異なって聞こえる点。これはマルチトラックから部分的に特定の楽器を抜くなどしていわゆる「別ミックス」となっている為でこれもまた市川崑監督のこだわりと細かさが垣間見える部分だ(これほどまでの作業をするならばオープニングもショートバージョンを作らせるなどして欲しかったなあ)。演奏はベースに高水健二、岡沢章、ギターに杉本喜代志、金成良悟、直居隆雄、フォークギターに吉川忠英など錚々たる面々、ドラムの市原康は「ルパン」でも叩いておりいわば大野組の常連。個人的にはボーナストラックの「那須の金田一耕助」がとりわけ好きで、イントロのリムショットからスネアに切り替わった時のタイム感が絶妙、物語の冒頭シーンで(これから何が起こるのだろう?)という期待がより膨らむのだ。大野さんの音楽は基本的にジャズが主体となっており、その八面六臂のアレンジ能力は和製ミシェル・ルグランとも言うべきもの。TVシリーズ「大追跡」のテーマなどで聞ける(良い意味での)ビル・コンティの様なわかりやすい「大野節」がファンにとってはたまらないのだ。自分はあまり詳しくなく大野さんの活動を追いかけることはしていなかったが音楽界にとって大きな損失であることは確かだ。
巨匠の逝去に接し、心から冥福を祈りたい―――。



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