名作再見。
- Ryusaku Chijiwa

- 2 日前
- 読了時間: 3分
2025年10月31日
ミシェル・ルグラン絡みで取り上げるのは、ずいぶん前にDVDを買って繰り返し観ている超お気に入りの作品「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(1983)。007映画の過去作品「サンダーボール作戦」のリメイク版であり、当時ロジャー・ムーアに取って変わられていたジェームズ・ボンド役にショーン・コネリーが12年ぶり7度目の返り咲きを果たした作品。権利問題でタイトルに007は付かずシリーズのオープニングではお馴染みのガンバレル・シークエンスもなく劇中で「ジェームズ・ボンドのテーマ」も流れない。興行的にまずまずの成績を残しているにも関わらず番外編の扱いを受け、ファンからは「つまらない」と酷評されている作品。自分は中学時代にバンドのメンバー全員で観に行ったことでも思い出深い一本で、甘ったるいロジャー・ムーア=ボンドのイメージが固定されていたのがむせ返るようなセックス・アピールとベテランならではの存在感(演じたのは52歳)に圧倒される形でコネリーの魅力に目覚めさせてくれたのだった。もはや決して若くはない年齢でかつ閑職にあるというコネリーのセルフパロディがあちこちで描かれるのが楽しいし、ドミネーションゲーム(仮想ビデオゲーム)やボンドカーならぬボンドバイクでのチェイス、華麗なダンスシーンなどが織り込まれ、きわめて「現代的な」ボンドが描かれているところ、そしてコネリーの自信に満ち溢れた演技、さらには自分の好きなミシェル・ルグランが音楽を担当しているところがひときわ思い入れを強くさせている。惜しむらくはクライマックスの攻防戦でこれは確かに冗長で迫力に欠ける。が、のちに「ミスター・ビーン」で世界に名が知れ渡るローワン・アトキンソンもチョイ役ながらツボを押さえた役どころで、そもそもこのタイトル(ネバーセイ・ネバーアゲイン)と言うのがコネリーの妻から「ボンド役を二度とやらないなんて言わないで」と言われたことから採られており、それが本編中でも実に上手くアクセントに使われているのが心憎い限りなのだ。これは機会があればぜひ観て頂きたい作品!
原語のみだったDVDが後発のブルーレイの発売時に若山弦蔵版の日本語吹替版が収録されて嬉しい限りではあったが、このBD版ではオープニング時に流れるタイトルソング「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(ラ二・ホール)の歌詞が表示されないのだ!この歌詞がまた作品の世界をうまく表現していて導入部では絶対に目にしておく必要があるものだ。盤の状態が悪くなっていたDVDを今回改めて買い直したけれど、やっぱりこれなんだと納得したねえ。





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