2020年10月4日
ファッション業界のバブル期を象徴するかのようなDC(デザイナーズ・キャラクターズ)ブランドブームに沸いた1980年代後半、創刊間もない「メンズノンノ」ではなく「チェックメイト」を購読し、「ポパイ」にはまだ早いからと「ホットドッグ・プレス」を買っていた高校生の自分。バンド活動に熱を上げていたため洋服にお金をかける余裕などなく、散発的にセールの一点買いをして持っていたのはわずかにスタジャン、ジャケット、トレーナーの数枚だけ(小遣いをためて買ったのはコール・ハーンのビットモカシン)。〇❘〇❘の半額セールとて気軽に買えるのはワゴンに山積みされたTシャツぐらい。とてもコーディネートをしようなどというレベルではなかったけれど、おしゃれというものに大いに興味を持っていたのは確かだ。当時すでに、KANSAIとKENZOの名声は世界的なものだった。海の向こうで成功をおさめた日本人を代表する存在だった。山本寛斎氏のエネルギッシュなデザインも素晴らしかったが、高田賢三氏の絢爛たる色彩感覚は目を見張るものがあった。結局、彼のブランドの服を買うことは一度もなかった自分。この機に手にしたのは美しい一輪の花があしらわれたTシャツ。フロンティアとして一時代を築いた偉大なる先人に、敬意を表して。
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