2022年3月11日
2014年からNHKのEテレで放送している「浦沢直樹の漫勉neo」の新作がスタートしていて、これを観ることを至上の楽しみとしている。自分も声優と言ういうなれば専門職にあって、匠ともいえる仕事の裏側を垣間見るというのは実に興味深いもの。かつてテレビカメラの前で町工場の職人や各分野における最先端技術に携わる人などが紹介されることはあっても、漫画家がその仕事の過程を子細にわたって公開するというのはありそうでなかったもの。正直、漫画を読む機会は少ないのだけれど、幼少の頃から長らく強い憧れを持ってきた職業なので、アーティストという意味では尊敬の度合いが何よりも強い。小学3年生の頃から散発的に下手なマンガを描き、4年生の時は同じクラスのヒラコくんと藤子不二雄を気取って共同執筆をしたり、中学時代は漫画研究部に入っていたこともあったっけ(落書きばかりしていたけど)。開明墨汁、Gペン、ケント紙、スクリーントーン・・・こういったワードにはちょっとわくわくしてしまう。奥さんが美術系の専門学校卒なのでデザイン製品を扱う店で働いていた経験があったりして、こうした話題のぶつけどころがあるのも嬉しいポイント。前回の渡辺航先生も良かったけど、今週の青池保子先生(「エロイカより愛をこめて」「ケルン市警オド」ほか)の回はレジェンドの寡黙な仕事ぶりに思わず息をのんだ。一度名を広めてもその後のヒット作に恵まれず筆を折る先生は星の数ほどいるのに、72歳にして現役と言うのだから素晴らしいとしか言いようがない。長きにわたりファンに作品を送り届けてくれているのは本当に凄い。世界に名だたるマンガ文化における功労を考えれば褒章を受けてもいいレベルだ。その仕事ぶりが覗けるなんて滅多にない機会を見逃す手はないよね。この番組、観ているだけで幸せ!漫画家は、まごうことなきアーティストなのだ。
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