あの日、あの時、あの場所で。

更新日:8月18日

2022年8月16日


今年になってから行こう行こうと思いつつ足を運べていなかった「オリーブの木」でこの日ようやくランチ。ドトールコーヒーのグループとして1985年創業のイタリアンレストランチェーンではあるものの、店舗数も少なくマイナーな存在。でも自分にとっては忘れられない思い出の店――。1988年春、高校を卒業した自分は就職をすることなくジャズ系の音楽スクール「メーザー・ハウス」に入学した。中学時代から続けてきた趣味のバンド活動が高じて、プロドラマーを目指すことにしたのだった。砂田宏先生に楽典、渥美知世先生にピアノを、そしてドラムは小野裕介先生とトコさんこと日野元彦先生に習うことになった。が、クラスの仲間はみな巧者揃い、読譜でつまずき、慣れないレギュラーグリップ(スティックの握り方)で壁にぶち当たり、実習において先輩と音合わせをする場面では全くいいところなし。出来の悪い数名が呼び出され、小野先生からは「お前たちは実習で指名しない」との宣告。歯を食いしばって努力をすることもなしに周囲についていけない自分がただ恥ずかしく、6月に入ると次第に授業を休みがちになり、すっかり意欲を喪失してそのままフェードアウトしてしまった。自分にとっていまだ消し去ることの出来ぬ人生最大の挫折である(この経験から声優への道は結果を出すまで何としてでも諦めないという意識が生まれ、それが功を奏した形ではあるのだが)。高校を出たばかり、ミュージシャンを目指してまだ希望に燃えていた当初は精神的に余裕もあった。地元の楽器店(ヤマハ特約店)でのアルバイト、音楽スクールで知り合った数少ない友人との交流、社会へ出て思い知った組織に属さぬ漠然とした不安は想像以上に大きかったが、見るもの聞くものすべてが新鮮で刺激的だった。授業の日はのんびりと出掛け、一人での外食。バンド仲間でラーメンを食べに行ったりピザの食べ放題などへ行っていたのとは勝手が違う。これもまた初めての経験で、(一人で食事をするのって、こういうことなんだ)という妙な感慨があった。それが当時池尻大橋にあった「オリーブの木」でのことだったのだ。「五右衛門」や「すぱじろう」などがまだこの世になく、「壁の穴」や「イタトマ(イタリアントマト)」がお洒落な流行店だった時代。外食で孤独にパスタを食べることで(それがたとえチェーン店であっても)あたかも大人の仲間入りをしたようなフワフワと宙に浮いたような気分になったものだ。あれから34年、自分の行動範囲に「オリーブの木」の店舗はなく、足を運ぶ機会は全くないまま現在に至っていたが、仕事で訪れた三軒茶屋のキャロットタワーにそれはあった。実は十数年前に一度、どこかの店舗を利用したことがあったもののメニューも雰囲気も昔と違うような印象でこれといった感慨もなく、実はほとんど記憶に残っていない。今回はそれをもう一度再検証しようという思いもあっての訪問、さてその結果やいかに――。ランチセットで注文したパスタは”オリーブの木”。店名を冠しているのでこれが看板メニューなのだろう、にんにくがたっぷりで具沢山、辛味の無いペペロンチーノといった感じ。当時食べていたのがミートソース系ではなかったというかすかな記憶が当たり、一気に34年前にタイムスリップした気分になった。マグカップで供されるコンソメスープはないけれど(これが美味しかったんだ)、まだ社会というものを全くと言っていいほど知らなかった頃の自分の姿が映し出されたような思いがした。自分は当時予想することもなかった人生を歩み、今日を生きている。これから先のことだって全く読めないのは同じ、希望を持って何事にも前向きに取り組めば、また違う景色が見えてくるというものだ。美味しいランチで感慨無量、午後の陽射しが眩しい。


懐かしさついでに、当時の実践クラス(小野先生)での課題曲を貼っておくことにしよう。

覚えている人、いるかなあ??




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