2023年11月17日
「アーネスト・ゴールド・コレクションVolume2」。全世界500枚限定リリースの情報を得て迷うことなくオーダーしたものが届く。TVミニシリーズ(日本未放映)の「リンカーン」とのカップリングで「トム・ホーン」(1980)のサウンドトラックが収録されている。スティーブ・マックィーン最晩年の作品(遺作「ハンター」の前)で、西部開拓時代終焉の頃に実在したガンマンの話。派手なアクションはほとんどなく、老齢なバウンティハンター(賞金稼ぎ)が冤罪を着せられて絞首刑に至るまでを淡々と描くもので、後半はほぼ裁判の場面。暗く陰湿だとの厳しい評価を受けてヒットには至らなかったし、そんな作品の劇伴は静かなもので、音楽的には優れてはいても内容としては非常に地味。それでも「荒野の七人」をはじめとする西部劇で名声を得たマックィーンの最後のガンマンの姿、若き日に演じた出世作のTVシリーズ「拳銃無宿」のジョッシュ・ランダルも、「ハンター」のラルフ・“パパ”・ソーソン(こちらは現代劇)もバウンティハンターの話。自らの銀幕の人生をかつて演じたルーツでもある役柄で終える(演技の師匠でもあり「荒野の七人」では宿敵のカルベラ役だったイーライ・ウォラックとの共演というのが実に感慨深い)という、不世出のスターのキャリアのドラマティックな幕引きは、いかにもマックィーンらしいと自分は考えている。さてこのサントラ盤、「トム・ホーン」のほとんどの曲は海賊版で出回っていたものを持っていたのだけど、ME起こしのため音質は劣悪なものだった。こうして公式盤が聴けるまでに43年とはあまりにも長すぎる・・・。マックィーンのサントラはもう出尽くした感はあっても、待ち望んでいるのは未リリースの「ゲッタウェイ」と、「ハンター」におけるチャールズ・バーンスタインの担当部分(全編の音楽はミシェル・ルグランによるものだが、アクションシーンでは差し替えられた)。自分が生きている間に聴けるかなあ??
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