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母の・・・

2019年10月15日


首都圏で展開されている手延べうどんのファミリーレストラン「味の民芸」。実家のあった横浜・青葉台にオープンしたのは中学生の頃だったか。家族で行くことが時々あって、自分にとっては懐かしい思い出の味。浪人時代、バンド仲間でもあった悪友と一緒に来たこともあったっけ。母と二人で来ることもあって、十代の頃は軽く反抗期だった自分は、和気藹々と会話をするでもなく、どことなく居心地の悪さを感じながらもその時間をやり過ごした。母は食が細いので軽めのものを単品で注文するが、自分は食べ盛り。ここに来ると、どうしても具だくさんの「鍋焼きうどん」が食べたくなった。母の注文に比べると値が張るので、反抗期とはいえど少し躊躇する。おずおずと「これ、いいかな・・・」と聞くと、母はいつも静かに「頼みなさい」と答えた。あの、何気ない光景が、今となっては愛おしくなってしまう。元気だった母。普通に、自分と言葉を交わしていた母・・・もっと、優しく、物分かりのいい、孝行息子でいるべきだった。母は今、病床に臥しているが、ふと、あの健康だった母の姿を思い出すと、胸が詰まるような思いがしてしまう。一瞬でいい、あの時の母と、もう一度笑って会話をしたい。出来の悪い息子で、本当にごめんね・・・。


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