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愛すべき人々。

執筆者の写真: Ryusaku ChijiwaRyusaku Chijiwa

更新日:3月2日

2025年2月28日


先の見えないスケジュールの中、今日は東京・赤坂へ。ご縁がない云々とネガティブな事を書いていたがこれもまた(お前は昔からこうした形でこの街と関わっているじゃないか、この先だって変わらないんだ)と諭されるような思いで劇団トローチの「夜明けのジルバ」を鑑賞。前評判も高くほとんどのステージがソールドアウトになっていたが前夜になって桐本拓哉さんに連絡を入れてチケットを都合してもらったのだ。前回(「熱く、沼る」)見逃したのがいたく悔しかったので今回は何としてでも見なければとの思いがあっての事である。


受付で「ビッグバン★セオリー」で長らく共演した野一祐子ちゃんと再会。そうだ、トローチはスタッフとして参加している声優も多いんだったな。敬愛してやまない波乃りんちゃんや森夏姫ちゃんの顔も見えるし、アフタートークゲストのかないみかさんまで立っている!

そう、観劇に出向くというのは改めて自分がこの世界の人間なのだという事を再確認する機会でもある。桐本さんとは「沈黙の傭兵」や「アイアンマン」でガッツリ共演し動画配信の「ジバラジオ」にも出演した兄貴分のような存在だし、東地宏樹さんとは「恋愛時代(韓国版)」(小林さやかさんも共演)や「プリズン・ブレイク4」のレギュラーでご一緒した。辻新八さんはアニメの「東京魔人學園剣風帖」シリーズほかでの共演があり、独りひっそりと客席に身を置きながらもある意味では自分の縮図のような空間だと図々しいことを思い浮かべたりする――が、そんな妄想は開演すればどこかへ消え去る。ほのぼのとしたコメディタッチのドラマが展開されていると思いきや、すべての登場人物にこの場にいる動機づけがなされ点と点が繋がっていく。事件を解いていく探偵(東地さん)は気障で大仰なキャラクターでも嫌味なところが全くなく、死んだ霊の魂がその場に居合わせるという設定も過度に笑いに繋げることもせず自然に見せる。後半になってそれぞれの感情が激しくぶつかり合う場面があっても気疲れするようなくどさを感じることもないのは演者がみな経験豊かな巧者であるからだ。長らく燻ったままで一向に芽の出ない地元のスター(横井翔二郎さん)がその隠れたファンであった粥川(今井勝法さん)に愛ある叱咤(エール)を送られるくだりはどこか自身の境遇に重ね合う部分があり胸が痛くなった。脚本はアテ書きなのだろうが、実にうまく書けているしよくまとめたなぁと妙に感心してしまった。良い舞台は本当にキャラクターが生きている。小林さやかさんは小柄で可愛らしい方なのだけどいつも爆発するようなエネルギーに満ちていて、今回もその片鱗を見ることが出来た。反面、普段はアクの強いキャラを演じることの多い山像かおり女史(「妖怪人間ベム」「彩雲国物語」ほかで共演)は殺人教唆の張本人でありながらぐっと感情を心に沈めた演技でドラマを支える好演を見せた。朝日が昇る中で国枝が思いを新たに書いた歌が爽やかな余韻を残すエンディング――。

良かった、今回も見逃したらまた後悔を残すことになっていたろう。やっぱり舞台はいい。


アフタートークはかないみかさんと林勇くん(「きみがくれた未来」で共演)。和やかな空気、和やかな時間。でもそこには登場人物各々のストーリーがしっかりと描かれ、大袈裟に言うならばそこに生きとし生けるものの(生命の躍動)を見た気がする。やっぱりトローチの舞台は見逃せないね。行ってよかった!次回の公演(一年半周期)が今から楽しみだ。


ジュニア時代は赤坂新社、三分坂、ナレーションの収録スタジオなど何度も通ったこの地、近年は派遣で三か月、社員で四か月――収録で来る機会がほとんどないのは寂しいと腐っていたけれど、ある特定の街とのご縁なんてあって無いようなもの。考え込むのは止そう―!


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