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大山のぶ代さん。

執筆者の写真: Ryusaku ChijiwaRyusaku Chijiwa

2024年10月23日


昭和の、いわゆる元祖「ドラえもん」が天に召された。初アニメ化の日本テレビ版では初代を富田耕生さん、二代目を野沢雅子さんが演じているのはあまり知られていないが、その人気が大きく開花したのは三代目の大山のぶ代さんが演じた1979年スタートのアニメ第二作(現在まで続いているシンエイ動画版)からである。コロコロコミックという漫画媒体と連動してのメディアミックスの先駆けともいうべき戦略が見事に当たって、日本中で爆発的な人気を得るに至った。小学生だった自分も夕方6時50分からの帯放送、日曜朝8時半からの放送(30分枠)をいつも楽しみにしていたことをよく覚えている。劇場版第一作「のび太の恐竜」も観に行ったし、テレビ版と劇場版の主題歌レコードも持っていた。大山さんは料理研究家としての著書やテレビ出演も多く、自分はそれらの映像も目にしていた。多才な人であり、また本来は女優であるというプライドを強く持った人でもあった。現場でご一緒する機会は一切なかったが、業界内では仕事に対して、また人に対してもとにかく厳しい方だという評判をよく耳にした。あれだけの功績がある方にもかかわらず、訃報に接して同業者から出されるコメントが少ないのはそのためだ。常に自分に厳しくあるとともに人にも厳しく妥協を許さない、しかしそれは声優の黎明期から第一線で活躍してきたのだという自負のもと、いわば一匹狼的な側面があったのだろうと個人的には思う。これが虚と実、一見華やかに見える人気長寿アニメ番組の裏の姿とも言えよう。自分が心から敬愛してやまない師匠の故・北浜晴子先生が言った「大山のぶ代だけは忘れない」という言葉がそれを語っていると思うのだ(それ以上の事は何も教えてくれなかった)。しかし作品そのものは永遠である。声優史上に名を残す偉大なる大先輩に、合掌―――。


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