変わらぬこと。

2021年9月2日


新しい仕事の台本をいただいて、自分の出番をチェックする。台詞に傍線を引き、どんなに平易な漢字でも必ず振り仮名を書き込む。一見、地味な作業ではあるけれど役を演じる上で必要なことであり、また仕事に臨む上でのひとつの儀式でもある。役が香盤(キャスト表)の序列の上であればあるほど台詞の量も多く、台本は赤い傍線で埋められていく。チェックだけでも一苦労だ。台詞が頁をまたいでいたり改行が読みづらかったりすれば大幅に書き直してしまう(ペラ=めくりのノイズを防ぐため)。その台本を手に本番に臨み、思い通りの演技が出来てOKテイクを貰えれば良いが、もしマイク前でパニクって頭が真っ白になった時(そんな事はまずないけど)、頼れるのは文字情報だけ。自分は何をどうすべきなのか、何に気を付けねばならないのか、事前のリハーサルでこのシーンをどう演ずるべきかと分析しどう理解したのか。落ち着いてそれらをもう一度反芻すれば、必ず光は見出せる(答え―ではない)。思えば、ずっとこの作業を繰り返してきたのだ。昔も、今も、そしてこれからも同じ。ずっと変わらないのは、演じるにあたっての真摯な気持ち。自信があっても無くても、確信があっても無くても、自分がこうだと思うものを忌憚なく出す。大胆だが繊細に、どんなにエモーショナルな演技でも理性を保ち、周りを見失うことなく、自分の姿を自分で俯瞰するような客観的な目を忘れずに。しかし演技は理論でするものではなく瞬発力、己の身体の中に染み込んでいるものが瞬間的に表出するもの。付け焼刃でどうにかなるものではない。だからこそ、経験すること。考えること。悩むこと。それらはとても大事なのだ。そして何より、ずっと立ち続けること。つまり現役であること。自分はまだまだこれからだ。


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