2021年7月20日
劇場版の「スーパーマン」の元祖とも言えるシリーズは1978年から1987年にかけて公開された4作品。最もヒットしたのが第一作で、続くのが「スーパーマンⅡ 冒険篇」、以降は興行収入が減少の一途を辿り、ついには9年でシリーズは途絶えてしまった(その後2000年代になって復活)。自分も日本語吹替え版(クラーク・ケント=スーパーマンは佐々木功さん!)で繰り返し楽しんでいるのはもっぱらⅠとⅡだ。ただ、Ⅱについては何度も見返していると所々に差し挟まれるコミカルなシーンが多過ぎてどうにも緊張感を削いでしまうきらいがあって好きになれなかったのだ(敵となる三悪人が月面や寒村で暴虐の限りを尽くすシーンは恐ろしいのに!)。実はⅠとⅡはほぼ同時進行で撮影されながら諸事情でⅡは監督のリチャード・ドナーが降板してリチャード・レスターへと交代している。作風に一貫性がないのはこのためなのだ。ところが長い歳月を経て様々な確執も消え、幻のドナー版が膨大なフィルムからの再編集によって2006年に世に出されることになった――。
が、自分はその「ドナー・カット版」の存在を長らく知らぬままだった。再編集版と言ってもさしたる違いはないのでは?とさえ思っていたのだけど、Wikipediaを見るとかなり印象が違ったものになっているらしい。これは見なくては!実に15年遅れの視聴なれど、もとの作品をよく見ているだけに違いが一目瞭然、なるほどお蔵入りだったこの部分をすべて生かしているんだなとか、ああここはみなカットになっている、ここは見事に差し替えられてるぞ、などと思いながら見るのも楽しく、驚きと感動に満ちた1時間56分だった。「未知との遭遇 特別編」や「スター・ウォーズ」シリーズなどの改編とは違って初めて観る作品のような新鮮さがあり、(あのエンディングは本来ここで使われるはずだったのだな)と最後までお楽しみが一杯。コミカルなシーンをバッサリ切ったのも爽快!そう、これでなきゃ!
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