2021年4月23日
「マディソン郡の橋」以降の俳優、映画監督としてのキャリアにおいては名匠とか味わいのある演技派などという評価が定着しているようだけど、若き日のクリント・イーストウッドの活躍を知っている世代としてはTVシリーズの「ローハイド」やマカロニ・ウェスタン物での武骨なイメージ、「ダーティハリー」シリーズに代表されるアクションスターとしての活躍が鮮烈に記憶されており、その輝きは今もなお色褪せぬものだ。この「ガントレット」も彼が役者として脂の乗り切った頃(1977年)の作品。ジャズに造詣の深い彼の音楽的なセンスを具現化したようなジェリー・フィールディングによるメインタイトルは一見、このアクション作品の冒頭を飾るにはそぐわしくないようでいて実はマッチしている。ダーティハリーにも通じる寡黙ながらも自らの正義をただひたすらに貫くショックリーの、ワイルドでありながらどこか気だるい雰囲気をクールに(しかしトランペット・ソロは情熱的に!)聴かせるところに何ともハードボイルドな魅力が倍加しているのだ。この作品、テレビ東京系の「午後のロードショー」ほかでの再放送が比較的多く、吹き替えファンにはお馴染み。キャストには、この物語のキーマンとなるコミッショナーのブレークロックに納谷悟朗、検事のフェイダースピールに納谷六朗の両氏が配され、期せずして兄弟共演が楽しめるところがマニアをニンマリさせる(しかも揃って悪役!)。証人マリーを演じるのはイーストウッドの愛人でもあったソンドラ・ロックというところも感慨深いものがあるね。今日は何だかちょっと気だるいなと思うような気分の朝に、この音楽は実にピッタリとハマるのだ――。
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