2021年10月11日
小三治師匠が逝ってしまった。長らく持病と戦い、山のような薬を飲む事を日課としながら高座に上がり続けた、昭和の噺家最後の大看板。生で見たのはただ一度、2015年の事。NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」(2007年放送)の再放送を見てどうしても行きたくなり、父親を誘って地元麻生文化センターでの独演会に出掛けたのだった。かつて落語の楽しさを教えてくれた父と食事をして一杯引っ掛けてから・・というのも手前味噌ながらどこか粋な感じがしたし、最前列のかぶりつきで師匠の至芸を堪能出来たのは幸せだった。毎回マクラでこの辺りの特産である「禅寺丸柿」が大好物だと言うものだから、楽屋見舞いは柿が山のように届くンだ、と楽しそうに語っておられたのが忘れられない。その後数年、こちらでの独演会は途絶えていたけれど今月は一門会で久しぶりに来られる予定であった。粋で鯔背な江戸前の落語。それでいてシャイで、茶目っ気があった。老いても端正な男前であるところは変わらず、実にカッコ良かったね。師匠、寂しいです。でも、これからはもうゆっくりと休んでいいんですよ。長らくお疲れさまでした。名人に、哀悼の意を表します。
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